何か怨念をも感じる金子-竹中論争:「新興衰退国ニッポン」を読んで

「新興衰退国ニッポン」 金子勝・児玉龍彦著 講談社 2010年刊
以前よくテレビに出て小泉改革に批判的な意見を述べていた慶応大学の金子先生の著作。最近の日本における、医療(止まらない医療崩壊の現実)・貧困(貧困が国を滅ぼす)・雇用(有期雇用は人間と経済を破壊する)・介護(行き詰る高齢者介護制度)・公共事業(公共事業という名の”麻薬”)・産業(メイドインジャパンの没落)・金融(100年に一度の危機がもたらす社会不安)・知のルール(コンピュータがもたらす優位性)そして技術開発(科学技術立国の黄昏)の9項目に対して日本の現状を分析。全編小泉・竹中改革・新自由主義への批判。このままでは、日本は衰退の坂を下っていくという。これをとめるにはということで、日本再生の為の8原則として現代の新「船中八策」を最後に提案。8つの策は全てもっともだが、方向を示しただけで具体的戦略戦術にはなっていないように見える。
それにしても、慶応の学生は、金子先生と竹中先生の講義を聞くわけだが、真っ向からぶつかる学説を如何受け止めるのだろうか。最近は余り見かけないが、テレビで金子先生の小泉・竹中改革に対する厳しい批判が懐かしく思い出される。経済の問題では、自然科学と違い理想状態での原理実験が出来ないため、取り込んで実行して成功して初めて理論の正さが分かる学問。とはいっても、外部条件が複雑すぎて本当にその理論の正しさを示しているのか疑問の場合も多い。そういえば、複雑系の経済学が一時期いわれていたがどうなったのかな。
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