東日本大震災後の日本の再興を担うひとは:「「坂の上の雲」と日本人」を読んで

「「坂の上の雲」と日本人」 関川夏英著 文藝春秋 2006年刊
最近この著者の作品を読む機会が多い。今までは旅行記関連。旅行記の場合にも感じたが、この著者は過去の文芸作品を非常に丁寧に読んで著作に利用している。今回は、司馬遼太郎の「坂の上の雲」から見えてくる明治時代の日本人を扱っている。
時々文章が話し言葉的に成ると思っていたら、後書きに書かれた今回の著作に至った経緯を読んで納得。月に一度、文藝春秋社の若手編集者有志に表題の内容についてレクチャーをした内容を手直しし、毎月「文学界」誌に連載したものがベースになっているとのこと。著者も後書きで述べているが、十分準備してレクチャーに望んでも鋭い質問に帰宅後更に勉強を重ねたとのこと。「レクチャーの実行なしに、また聞き手たちのその場での「批評」なしにはこの本は成立し得なかったということです」と。この感覚良くわかります。私の少ない経験でも、技術論文の執筆の前に口頭発表することで質問から多くの見逃した点をハッキリさせられたことが多々あった。特に学位論文執筆の前に、お世話になった先生の計らいで研究室のゼミで話をさせていただいたことが、比較的短い期間で論文の執筆が出来た一つの要因だと思っている。ほんの少しでも、自分の意見を著作にする際にはどんな形でも人前で発表してみることは非常に重要だと思う。閑話休題。
明治維新、第二次世界大戦と未曾有の大波のエポックを経験した日本人。この時代を乗り切った第一世代、第二世代、そして先達の構築した日本をその後引張った第三世代、明治維新後の第三世代は「奇胎の40年」を経験。さて、第二次世界大戦後の日本における第三世代はいかなる日本を創ろうとするのだろうか。「失われた・・・・」といわれ始めたこの時期に、東日本大震災の勃発。大きく流れを変える舵取りが必要になってきた。明治維新後、第二次世界大戦後と大きく異なる点があるとすれば、それは世界標準になれてきた点。今必要なのはこの国から世界標準を出していくことだと思う。再興にはどうも「失われた・・・」を牽引した現世代は降板し、次の世代に託した方が良いのでは、というようなことを読みながら感じた著作。
それにしても、この著者は文学作品を非常に丁寧に読んでいるなー。私の濫読では読んだ先から忘れていくのだが。所詮仕事で読んでいるのではないので、忘れることを恐れず、知らないことを知りたい一心で読み続け、一つでも新しいことを知れば良いとお婿とにしている。
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