読む人を楽しませる旅行記:「南蛮阿房列車」を読んで - 2011/03/31(木)

「南蛮阿房列車:乗物狂世界を駆ける」 阿川弘之著 新潮社 1977年刊
元々「阿房列車」とは、内田百閒が戦前意味の無い汽車の旅を旅行記にしたもので、著者はその衣鉢を継いだとある。
列車の旅の好きな人を分類すると
①列車そのものに興味を持って乗りたがる。:例えば特別な列車に。
②列車に興味はあり走っているのを見たがる。:SLの写真等を撮る人
③路線に興味を持ってる。:各駅停車でも良く全路線走破を夢見ている人。
④路線の周りの風情・風景に興味を持っている。ぐらいに分けられるか。
この分類からいえば著者は①に分類されるようで、列車の編成とか内部に興味持ってる。そのためか、列車の編成とか列車内の模様を掴むと、日中でも社内でまどろむ事があるようだ。私はどちらかといえば④の範疇に属し、知らない土地の電車に乗ってぼんやりと外を眺めて何か新しい発見は無いかと目を凝らしている。ぼんやりと目を凝らすとはおかしな表現だが、まさにこの感じがぴったり。先月も、四国の高徳線-鳴門線-徳島線-土讃線-予土線-予讃線と乗りついで、窓から見える四国の景色・風情を楽しんだばかり。
著者の旅は、一人旅は殆ど無く、何だかんだ言いながらも何人かの友人と一緒だったり、人に手配を頼んだりしている。同行者や手配者は、著者との付き合いの深い作家(遠藤周作、北杜夫)や、大使館か公使館勤めの友人(と思われる)や現地に滞在している友人。持っているネットワークが流石広いし、大事にしてきているのが良くわかる。(それに反して、どうも、自分は余りこのようなネットワークを大事にしてこなかったようだと今さら反省)場所も、余り日本人観光客が乗らないような路線の列車の旅の紹介で、私個人的には訪れるのは難しい場所なので、場所自体には興味は無いのだが、軽妙な文章に引き込まれてしまった。何か人に教えようというよりかは、楽しませよう読ませようとする著作に思える。矢張り、旅行が主の人の書いた旅行記との違いが何となく感じられる、作家の書いた旅行記だ。
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